2018/01/28 01:49
▼ はじめに
当ショップの器は、土ものと呼ばれる陶器で作られており、ひとつひとつ手作業で作っています。柔らかでぬくもりのある質感や色合いなど、陶器には土ものならではの魅力がありますが、使い込むうちに貫入(かんにゅう)が出たりすることもあります。
陶器は、量産ものの食器とは材質がやや違うため、取り扱い方にもコツがあります。
といってもそれほど難しいものではありません。
伝統的な焼き物や、現代の作家ものの器などにも応用できるものです。
ここでは陶器やその取り扱い方についてお伝えしたいと思います。
▼ 陶器の性質について
やきものにはざっくり分けて「陶器」と「磁器」があります。陶器は「土もの」などとも呼ばれるように、粘土や陶土から作られるやきものです。
粘土を焼成すると水分や有機物が抜けた部分が「多孔質」(スポンジのような状態)になります。
そのため吸水性があり、保湿性に優れています。
そのままだと水分を吸ってしまうので、大抵の食器は釉薬というガラス質の層でコーティングされています。
作る側から見ると、比較的低温焼成ができて豊かな色調や雰囲気を出しやすい、制作時に扱いやすいなどの良い面があります。
陶器は吸水性がある。ここがポイントです!
磁器は主に白くて硬い「石もの」と呼ばれます。
現代の洋食器や業務用食器などはこちらです。
伝統的な産地のものだと有田や九谷などが有名ですね。
磁器は原料が主に陶石や長石・珪石(石の仲間)で出来ているため、吸水性はほとんどありません。硬く強度がありますが保温性はあまりありません。
▼ 使い始めにやること
購入してすぐの陶器は、焼いたままのカラカラの状態で、水分をよく吸う状態です。まずは水やぬるま湯に10分程度(可能なら一晩)浸していただくと、染みの防止になります。
昔からの知恵ではお米のとぎ汁で煮ると良いと言いますが、水にしばらく浸していただくだけでも大分効果があるように思います。
その後も使う前には、できれば水やぬるま湯にくぐらせてから使うと染み防止に効果的です。
▼ 貫入とは?
陶器を使っていくと、次第に表面にヒビのようなスジ模様が出てくることがあります。ひび割れ?と不安になるかもしれませんが、これは「貫入(かんにゅう)」と言って陶器の性質上生じるものなので、そのまま使用して問題ありません。
貫入(かんにゅう)とは、陶器の表面の釉(ガラス質の層)にでる筋のことで、陶器の特性でもあります。
使い込まれた湯飲み茶わんの表面に無数のすじ模様のようなものが見られることがありますが、これが貫入です。
これは焼き物を焼く時に、冷えていく過程で生まれます。
窯の中で1200度位の高温で熱せられた素地(粘土)と釉薬(ガラス)は変化し、冷えていくにつれ少し縮みますが、性質の違う物同士のため縮み方に差が出ます。
そのため素地と釉薬の層の間にひびが入ります。これが「貫入」です。
使い込むうちに茶渋などの色素がだんだん沈着し、徐々にスジ模様がはっきりと見えるようになってきます。
▼ 染みを落としたい時は?
汚れが気になる場合は、定期的に重曹や食器用漂白剤を使ってつけ置きしていただくケアをお勧めしています。分量はお使いになる漂白剤の注意書きに従ってご使用ください。
重曹の場合は沸かしたお湯を使うと汚れが落ちやすいです。
浸け置き後に、スポンジなどでこすり洗いして洗っていただくと更に効果があります。
▼ 電子レンジの使用は?
当ショップの器は金彩などは使用していませんので、電子レンジは通常の温め程度でしたら使用は問題ないと思います。実際に電子レンジでの温めは日常的に使用していますが、レンジ使用で割れたりヒビが入ったりということは今のところ経験がありません。
ただ、すでに目に見えない微細なヒビが入っている場合などは、レンジで加熱・振動することでヒビが生じる可能性もなきにしもあらずです。
元々が陶器(ワレモノ)のため絶対に割れないとは言い切れないのですが、どうぞご理解いただいた上でご使用いただければ幸いです。
なお、ソースやオイル漬けのような油分の多いもの・色の濃いものをレンジで温めると、染みの原因になりやすいのであまりお勧めしません。
直火、オーブン、トースターの使用はお止めください。
▼ 貫入とひび割れの違いの見分け方
器自体が割れている場合は、表と裏側の両方に同じようにヒビが入っていたり、表面を触ると引っ掛かりがある感じがしたりします。場合によっては中身が染みたりすることもあります。
また、軽く指で弾くと音がコンと響かず、こもったような割れもの特有の音がします。
当ショップの商品の品質には万全を期しておりますが、万が一、欠陥・破損などがありましたら、到着から1週間以内にご連絡、ご返品下さい。
ただちに返品、交換対応させていただきます。
詳しくは特定商取引法に基づく表記をご確認ください。
▼ お気に入りの器を育てる楽しみ
当ショップのうつわは陶器(土もの)ですので、貫入などはどうしても 付いてまわるものになります。日常的に使っていくうちに 貫入が少しずつ全体にまわり染まっていきますが、こうした 経年変化を愛で、うつわを育てる楽しみとする方も多くいらっしゃいます。
少し手間がかかるかもしれませんが、時間を経て使い込まれた器は趣があって愛着がより増すものです。
陶器のことをご理解いただき、長く使っていっていただけたら嬉しく思います。
